薬を使っているのに、がんが再び大きくなった。そのとき、次の薬へ全面的に切り替えるのではなく、今の薬に別の薬を加える方がよい場合がある。

SAFFRON試験が調べたのは、EGFR変異陽性の進行肺がんで、Tagrisso(オシメルチニブ)による治療後に進行した患者のうち、METの高い発現または遺伝子増幅が確認された集団だ。Tagrissoを続けながら、MET阻害薬Orpathys(サボリチニブ)を加える治療を検証した。試験概要 ↗

併用する理由は、耐性の成り立ちにある。

TagrissoがEGFRからの増殖シグナルを抑えても、腫瘍がMETを使って別の経路を働かせれば、増殖を続けられる。この場合、METだけを抑えてEGFRへの抑制を外すと、もとの経路が再び働き得る。二つを同時に抑える必要がある、という考え方だ。

先行する小規模な無作為化試験でも、サボリチニブ単独より、オシメルチニブを併用した方で高い抗腫瘍活性が観察されていた。ただし、30人で早期終了した試験であり、それだけで治療を確立できる規模ではなかった。第II相試験 ↗

今回のSAFFRONは338人を対象に、併用療法と白金製剤・ペメトレキセドによる化学療法を比較した。無増悪生存期間の中央値は7.6か月対5.4か月、全生存期間は17.8か月対12.9か月だった。特定の耐性機序を持つ患者では、既存薬を残した併用治療に利益が示された。NEJM原著 ↗

一方、内服薬の組み合わせだから負担が軽いとは限らない。グレード3以上の有害事象は併用群64%、化学療法群63%だった。また、比較したのはこの化学療法であり、他の後治療すべてに対する優位性を示したわけではない。結果発表 ↗

事業の観点では、サボリチニブはTagrissoを置き換える製品ではなく、Tagrissoを使い続けられる患者を増やす補完薬になる。

新薬の価値は、既存薬より強く効くことだけではない。既存薬が効かなくなった理由の一部を取り除き、治療の組み合わせとして再び利益を得られるようにすることにもある。今回の結果は、その考え方を臨床成績で支えるものだ。

ただし、その市場はEGFR変異陽性肺がんの患者全体ではない。治療後にどのような耐性が生じたかによって決まる。薬の組み合わせと、進行後の腫瘍を調べる検査が、一体の開発になる理由でもある。

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耐性が出た薬を、なぜ使い続けるのか

第III相SAFFRONでは、選択された338人で、併用群の無増悪生存期間中央値は7.6か月、化学療法群は5.4か月。

  1. 第III相の結果確認済み
  2. 検査と実臨床への導入未確認
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承認の対象範囲、検査の基準、他の後治療との位置づけ。

追っている仮説・見直す条件

耐性の型を選べば、二つの増殖経路を抑える併用が治療の選択肢になる。

見直す条件:他の後治療との比較で利益や負担の釣り合いが取れなければ、採用の見通しを見直す。

MET高値で選んだ患者における、特定の化学療法との比較。

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出典・参考資料

この版の作成時に確認した公開資料。リンク先はその後更新される場合があります。

  1. Phase 2 trial ↗Clinical Lung Cancer · 2025-10-22
  2. Results announcement ↗AstraZeneca · 2026-10-25
  3. Trial overview ↗AstraZeneca ·
  4. NEJM trial report ↗New England Journal of Medicine · 2026-10-25

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